この記事はメインブログ「でょおのぼっちブログ」から転載しました。
ニード・フォー・スピード ブルーレイ [Blu-ray]
どもども、でょおです。
かなり遅ればせながらも映画『ニード・フォー・スピード』を鑑賞いたしました。
正直、ゲームが原作で主演もドラマ俳優で、ワイルドスピードブームに乗っかっただけの作品だと思っていて食わず嫌いしてました。
評価を一言で言うと普通にワイスピより面白かったw
ワイルドスピードシリーズはすでに「車の映画」という枠をガッツリ超えちゃってて、車好きとしてはちょっと物足りない感がしてまして、今回『ニード・フォー・スピード』を観たことで完全に吹っ切れちゃいました。もうマジでワイスピを映画館で観るのやめようかと思うほどです。
- あらすじ
- キャスト
- ニード・フォー・スピードは「車映画好き」にウケる映画
- 映画『トランザム7000』を彷彿とさせる
- マイケル・キートン演じるモナークの魅力
- 『ニード・フォー・スピード』のヒロイン ジュリアの魅力
- 『ニード・フォー・スピード』のストーリーは三の次
- スーパーカーに期待するとがっかりする
- 無駄にド派手なアクションはしない
- おわり
あらすじ
実在するスポーツカーが公道でレースを繰り広げる、エレクトロニック・アーツ社の人気レースゲームを映画化。凄腕のメカニックで天才的なドライビングテクニックを持つトビーは、親友を死に追いやり、無実の罪で自分を陥れたディーノに復讐するため、チューンナップされたスーパーカーが公道を走るストリートレースに出場する。
まあ内容としては超ありがち。すでに使い倒されまくったストーリーで手垢ベタベタではありますが、逆にこの清々しさがいい。
キャスト
- アーロン・ポール/トビー・マーシャル
- ドミニク・クーパー/ディーノ・ブルースター
- イモージェン・プーツ/ジュリア・マッドン
- マイケル・キートン/ザ・モナーク
正直、キャストの日本での知名度は微妙な人たちばかりです。まず主人公のトビー・マーシャルを演じるのはドラマ『ブレイキングバッド』で有名なアーロン・ポール。ブレイキングバッドファンにはお馴染みですね。
主人公のライバルでいわゆる悪役に相当するディーノにはいまいち鳴かず飛ばずのドミニク・クーパー。悪い俳優ではないんですけどね。どうも小物感がハンパないというか。
そして同じく鳴かず飛ばずのキャリアを歩みつつも、近年ちょっと微妙な映画に引っ張りだこのベテラン俳優マイケル・キートンなどがキャスティングされています。
ニード・フォー・スピードは「車映画好き」にウケる映画
おそらくこの映画『ニード・フォー・スピード』は一般の映画好き層よりも「車映画好き」層にウケるでしょう。というより往年の60年代70年代の車映画が大好きな人たちにウケると思います。
正直、一般層の映画好きであればワイルド・スピードシリーズの方がキャスト、アクションの迫力、脚本もおもしろいと間違いなく言うでしょう。
なぜ『ニード・フォー・スピード』をここまで持ち上げるのかというと、この映画は60年代70年代のカームービーに対しての強いリスペクトを感じるオマージュの数々があるからです。
映画『トランザム7000』を彷彿とさせる
トランザム7000 (字幕版)
トランザム7000という映画をご存知ですか?1977年公開の本当に昔の映画ですが当時大ヒットしたコメディ映画です。
ポンティアック・ファイヤーバード・トランザムに乗るバンディットというアウトローが片道900マイル(約1450km)を28時間で往復するロードムービーです。トレーラーで並走する相棒スノーマーンや成り行きでバンディットの車にあいのりするキャリーと共に旅を行う映画です。コメディ映画ではありますが最高にかっこいいポンティアックを堪能できる映画です。
映画『ニード・フォー・スピード』も物語の半分は「ロードムービー」になっています。主人公のトビーはレース「デレオン」に出場するため美女ジュリアと一緒に大陸を横断します。二人は旅を通して惹かれあっていきます。
この点はまさにトランザム7000を思い起こさせるシナリオです。
『トランザム7000』ではバンディットの頼りになる相棒のスノーマンが登場しますが『ニード・フォー・スピード』ではヘリコプターで手助けをしてくれるベニーや職場の元同僚のメカニック達がその役割を果たします。
ほかにも明らかに『トランザム7000』へのオマージュを捧げたトランザムに乗るバンディットっぽい人が登場するシーンもあります。
『ウィニング・シーズン/勝利の季節』をオマージュした「グラスホッパー」と呼ばれるマスタングの大ジャンプなんかもあり60年代、70年代に流行った「車映画」を彷彿とさせるオマージュの数々。個人的にマスタングのジャンプシーンはバニシング in 60のオマージュだと思ってたんだけど。
この「昔の車映画」感がたまらなく良いんですよね。なんていうかしっくりくる。
ただこの「昔の車映画」感こそがこの映画がヒットしなかった理由だとも思います。そもそも『ニード・フォー・スピード』はテレビゲームが原作で、映画を見るターゲットもおそらく若者なのにおっさん受けしそうな映画にしたからです。さらに映画の触れ込みは「スーパーカー」。この映画のスーパーカーはほとんどおまけです。
マイケル・キートン演じるモナークの魅力
他にも感じる昔の映画っぽさがマイケル・キートンのモナークです。
昔の映画って「詳しく語られないけど魅力的なキャラクター」ってのが出てくることが多いんですよね。しれっと登場してるくせにやたらとクセが濃いキャラクターみたいなのが。
今回、そういった「よくわからないけど濃いキャラ」としてマイケル・キートンが演じるモナークが登場します。
レース「デレオン」を主催するラジオDJという設定です。独特のしゃがれ声と口調を持ち味にしっかりとラジオDJを演じきっています。それ以外に活躍するシーンはあまりないのですがトビーの父を知っていたりと何気に重要な役回りをしてるところが昔っぽいですよね。
それからラジオが劇中で大きく取り扱われている点も往年の作品を彷彿とさせます。今時ラジオ聞いてるのっておっさんか建築業くらいじゃないんでしょうか。
『ニード・フォー・スピード』のヒロイン ジュリアの魅力
それからこれ。イモージェン・プーツが演じる高級車のカーディーラーでヒロインのジュリアがとてもすてきですね。
高級車のカーディーラーはメカニックの主人公達とは立場も住む世界も全く違いますし、出会ったときは「車に疎いイギリス人女性」を演じて主人公達をおちょくるなど、序盤ではお高くとまっている"いかにも嫌なヤツ"として描かれます。
ですが旅を通してキャラクターの内面が描かれていくとおしゃれで泥臭さと無縁の外見に反して、行動的でアクティブなキャラクターは往年のロードムービーのヒロインを思い起こさせます。昔の映画のヒロインって本当にこういうキャラ多かったんですよ。
このイモージェン・プーツってよく知らない俳優さんでしたが可愛い。
出典File:Imogen Poots.jpg - Wikimedia Commons
写真より動いている方が5倍可愛いからね。マジで。
『ニード・フォー・スピード』のストーリーは三の次
今まで良いところばかり伝えてきた感想でしたが、当然そうでないところもたくさんあります。特にシナリオ自体はもうベッタベタなものです。
トビーとジュリアが恋仲になる所はもちろん、物語の中核である復讐の経緯はもう誰でも読める感じ。
主人公トビーの弟分のピート(ハリソン・ギルバートソン)が「俺もレースする」みたいなこと言った時点で「あっ..このパターンあかん。」とフラグが立ちます。
ほかにもラストでトビーがライバルのディーノを助けに戻るシーンも「まぁそーだよねー」って言っちゃいます。もう予定調和過ぎ。
あちこち暴走して結局逮捕されたトビーですが、映画のエンディングで出所します。この出所した主人公をヒロインが迎えにきて…ってのもめちゃめちゃ「あるある」です。
まあでもね。車好きとして重要なのは発表されたばかりの新型マスタングであるということ。
出典:フォード マスタング 新型、映画『ニード・フォー・スピード』に出演…撮影の舞台裏[動画] | レスポンス(Response.jp)
ぶっちゃけありがちなエンディングとかどうでもいいんです。「おおっ新型マスタングやん!」ってなるところが良いんです。
スーパーカーに期待するとがっかりする
ゲームの「ニード・フォー・スピード」は高級車、スーパーカーがたくさん登場します。ゲームなので当然。でも実写となるとそう簡単にはいきません。
登場する車はすべて実写にこだわりCGを使用していないようですがやっぱりハリボテのばったもんでレプリカというのがわかるシーンも多数あります。
そりゃ実物を使用したらとんでもない値段になるのでしかたありませんがちょっとわかりやすすぎるシーンもあるのでがっかりする方もいるとおもいます。
またレプリカというのがわかりにくいようにするためかスーパーカーの登場はラストのレースシーンと冒頭のレースぐらいです。
なので「スーパーカーのレース」が売りのくせにかなり出番が少ないです。
まあ「スーパーカー嫌いでマスタング好き」の私にとっては完全な俺得作品でした。
無駄にド派手なアクションはしない
ワイルド・スピードにある馬鹿げたほどのド派手アクションはありません。たしかにアクションは元スタントマンが監督しているだけあり見応え、美しさがあります。
ですが近年のぶっ飛びハリウッドを見慣れているだけあり、物足りなさってのはすごく感じます。ほとんど魅せるためのアクションより見せるためのアクションですね。
こういったものは好きなんですがこの手の映画としてはあまりふさわしくなかったのかもしれません。
またキャスト達もムッキムキのワイスピシリーズに比較すると貧相に見えてしまいます。別にガリガリって訳じゃないんですけど、ワイスピシリーズは基本全員マッチョですから。
でも70年代のカームービー好きの私から言わせてもらえば、昔はこんな感じだったんだよなと。金庫をマッスルカーで引っ張り回したり戦車とカーチェイスなんて荒唐無稽な話もなかったし、登場するハリウッドスター達も完璧な肉体のマッチョではありませんでした。ホブスとかダビデ像かなんかみたいだもん。
顔だってみんな今ほどイケメンすぎなかった。たしかに男前だけどクセがあった。どことなく親近感の湧く顔でいて、その辺にはいそうにないイケメンだった。それでありつつスタートしてのオーラがある。それがハリウッドスターでした。
今の俳優の多くはかつてほどオーラを感じないですし、特徴のない絵に描いたような美男美女ばかり映画に登場します。
おわり
個人的には近年のワイルドスピードをはるかに凌駕する名作でしたが一般的にはそうじゃないんでしょうね。
実際、興行収入は見込まれていた以上に低く、評論家からの評価も成功した作品とは呼べないのが実際です。話題作りもそれほど上手くいかず評価も好き嫌いが分かれる本作ですが個人的にはアタリでした。
もしまだ見ていないのなら是非おすすめします。